内側から見た富士通「成果主義」の崩壊
「内側から見た富士通 成果主義の崩壊」という本を読みました。元富士通
人事部にいた社員が退職したあとに書いた本として、ベストセラーになった
のだそうです。いまでも本屋さんに行くと、けっこう目立つところに置いて
ありますね。
著者の年齢が比較的近い点、またおなじ電機メーカーの人事担当者という
立場である、という観点から、いずれ読みたいと思っていて、最近ようやく
読むことができました。
内容としては、富士通で人事制度として成果主義がどのように導入され、それ
がどれだけ会社をダメにしていったか、ということがさまざまなケースや、
社員、元社員の証言などをもとに説明されています。
そこで書かれているものは、確かに客観的な視点に基づくものであり、
なるほど、と思わせるエピソードもあったりします。
(実際、富士通人事のひとから、人気就職企業ランキングアップのため、と
いうことで訪問インタビューを受けたことを思い出した)
でも内容の正確さ、深さうんぬんの前に、ものすごい読んでいて心苦しいと
いうか、胸につかえる重たいものがぬぐえない印象があって、最後まで晴れる
ことはなかったです。
著者の方は、大学を卒業して富士通に入社し、人事部に配属され、そこで10
年前後働いていたわけです。で、もちろん会社の前途が見出せなくなったから
なんでしょうが、退職して、それまで自分が関わってきて得た経験や情報を
もとにして、今回この本を出版した。
で、富士通のことをボロクソに書いているわけです。特に、経営トップから
中間管理職のあたりの人たちは、まるで無能呼ばわりです。
曲がりなりにも10年間給料をもらい、きっと退職金も支給したであろう、
自分が在籍していた会社に対して、暴露本を出版すると言う形で、著者は
なにをしたかったのだろう?
富士通の評判を落としたり、現役の富士通社員ががっかりてモチベーション
ダウンしたり、学生が富士通と言う会社に失望することはあっても、なんらか
プラスになるとは思えません。
富士通という会社は、現在のところ、大企業で、社会的にも存在意義があり
そのために一生懸命働いている何万人もの人がいて、いろんな意見立場が
あるにしても、富士通を誇りに思っている人もたくさんいるはず。そういう
ことを考えると、人事という、社員の仕事のモチベーションを上げる裏方で
あるはずの人間からこんな本を出されることを思うと、なんかいたたまれない
というか・・・
本文の中で著者は「いまも富士通に愛着がある」って言っているけど、
読んだ瞬間、「うそでしょ!!」って突っ込んじゃいました。
なんか、本全体を通じて、富士通に対する憎しみ、恨みしか感じません。
もうひとつ、著者はまさに人事制度を企画したり運用したり改定する立場
にいたわけで、(それが富士通の中では特権的な立場でもあるらしいんですけどね)
そこでじっくり富士通の悪い点を見て分析して、こんな本にまとめるくらい
理解しておきながら、それをなんとかするために何か行動を起こしたのか?
というのが疑問。もちろん、それができなかったから自ら会社を去ると言う
決断をしたのかも知れませんが。
富士通社内の人事制度改悪で社員のモラルダウンうんぬんということを論じる
より、著者がこのような本を出したことに対して、著者自身のモラルがどうなの?
ってことを聞きたい気がします。
私は仕事に復帰するのはまだ先になりそうですが、人事担当者として仕事をするから
には、あくまで裏方として、多くの人がそれなりに満足感をもって働く環境づくり
というのを目指したいなあと思っています。
それはひとりの人事担当者としては短期間でできることではなく、もちろん
チームでってことでもありますが、じっくり腰をすえて自分のライフワークとして
取り組んでいければいいな、と思っています。
あ、サラリーマンの方でこの本を読んだ方がいらっしゃれば、どんな感想か、
コメントいただければ嬉しいです。
私は内容以前に、この本を書いたことが納得いかないよ!というところで
止まってしまったもので。
